料理マニヤックス/ワタリ蟹の酒蒸し
菊治は御津町の「うまいもんネット」のメルマガをみて目を見張った。
「朝市でワタリ蟹が3匹で1000円!ほんとうなのかっ?」
半信半疑のまま室津に向かった蟹のエリート菊治は、そこでトロ箱にはいったワタリ蟹を目撃する。
しかし、もう3匹しか残っていない
菊治はダッジオーブンにオリーブオイルを引く。エキストラバージンは認めないのがダッジのエリート菊治のこだわりである。
アルミホイルを引いてあるので鍋を汚す心配もない。
菊治は蟹の脳天をコンクリの角でコンとたたく。
カニは「ごわっ」と声をたてたが、まさかそのくらいのことで死ぬことはないだろう。
充分に余熱したあとワタリをダッジにいれ、白ワインをまわしかけて弱火のガスで25分蒸し上げる。天火は雨が降っていたのでやらなかったが充分だろう。
菊治の胸は少年のようにどくどくと高鳴るのであった。
「お前が蒸し殺したんだ!」
脇田刑事は菊治をどなりつける。
殺したといえばたしかにそのとおりだが決してそんなつもりではなかった。
ただワタリをもっと快くしてやりたかった。その結果こうなったのである。
「ひどいよ冬香・・こいつらはなにもわかってはくれない・・・」一人つぶやく菊治であった。
蒸しあがったワタリを菊治はむさぼる。
ボイルのようにミソは流れず、焼いたときよりジューシーで蒸すより濃厚な味わいである。
「おいしいよ、、、冬香・・・」
ひとりつぶやくが冬香は死んだ人の常で答えない。ただ微笑むだけである。
−−−「完」−−−
費用 | |
ワタリ蟹 | 1000円 |
オリーブオイル | 前に買った奴 |
所要時間 | |
30分くらい |