鉄塔マニヤックス


「鉄塔武蔵野線」再刊!!

seiban-10.jpg




俺と高圧鉄塔

オイラと鉄塔の出会い

小学校に入学のとき、家がひっこした。
浜手のゴミゴミした長屋の多い住宅地から、田んぼばっかの田舎に引越して歩いて学校に通うことになった。
そのとき、通学路だった田んぼのあぜみち(今はそれなりに舗装されて車くらいは通れるようになったが)からほんの数メートルのところにそびえたつ鋼鉄のオブジェをオイラは目撃した。
コロナ放電のかすかな音をジリジリとならしながら幼いオイラの心にそれは悪夢のように焼付けられて、そして見慣れ成長するうちに、いつしかそれは意識の奥に沈んでいった。
少年はそのとき脳が受信したスカラー波の影響か、成長して電気屋になろうと思って学校でソレ系の勉強をしたが土壇場で電柱に登るのが怖いのでやめてパソコン屋になった。

しかし、最近になって、日本全国の街中から山野にまで無数に建造されているこの巨大な鋼鉄のオブジェが、なぜか気になってしかたがなくなってきた。

インターネットで調べてみると、どうも同じことを考えている人は多いようだ。
オイラの頭の中の、変な場所のスイッチがまた入ったらしい。

このコーナーでは、街で見かけた変わった送電鉄塔を、ほそぼそとしたペースで紹介していきたいと思う。


ということで、またアホなコーナーを作ってみました。
まぁのうがきはともかく、高圧鉄塔ってなんか気になる存在です。(普通の人は気にしていないって!)
この完璧なトラス構造の鉄のオブジェに現代美術的な美しさを感じるのはオイラだけではないはず!(オマエみたいなヘンタイだけやって!)
とんでもない山の中に何基もそびえたつ50万ボルト級の高さ60メートルを超える鉄塔群を建造した人々に思いをはせる時に、その壮大なドラマに一人感動するのはオイラだけじゃないはず!(オマエ、プロジェクトエキースの見すぎやって!!)
考えてみれば、鉄道趣味とかにしても、線路の名前や時刻表やクハとかモハとかにこだわるのがマニヤ道だから似たようなもんだし。(怒られるで!)
ということで、同好のヘンタイのみなさん、一緒に楽しんでください(だからいないって!笑)


鉄塔の基礎知識

ashi.jpg

大抵の鉄塔にはこういう標識がある。
この鉄塔は西播線という「路線」の10基目の鉄塔なのであろう。どうも「上り」に行く方向で番号が若くなるようだ。
残念ながら電圧他の様式についてはここにはまったく触れられていない。
高さは目測で40メートルくらい。電圧は後述するが27万5千ボルト。
材質はおそらく亜鉛メッキされた高張力鋼材のアングル材、ボルト留めによるトラス構造。
おそらく日本でもっともよく見られる標準的な中型の鉄塔であろう。
もう少し世代が新しくなると、これがMC鋼管造りになってくる。

noboranaide.jpg

この「西播線10番、およびこれの次にある11番は、水田の中に直接脚があって、鉄塔の直下も耕作されているというある意味珍しい構造である。
地盤は大丈夫なのだろうか?
下に稲を植えるの面倒だろうなー。
ワタシが地主だったら、たぶん近寄らない・・・
「登らないでください」って書いておかないと登るアホタレもいるんでしょうね。
というか、この鉄塔、普通はたいてい回りにあるフェンスがない。
よく考えると、それはそれで珍しいかもしれない。
大抵の鉄塔には、こういう隠されたドラマがあるから見逃せないものである(笑)
ちなみにこの鉄塔は、昭和37年に建造されたらしい。もう50年以上現役なわけだ。

このクラスの電圧の鉄塔だと、至近距離に近づくとかすかに「ジリジリジリ」という音が聞こえる。雨の日にはすこし音が大きくなる。夜間など気象条件によればごくまれにだが青白く光っている事すらある。
これはコロナ放電と呼ばれる現象である。
心配しなくても人体には害はない(、と思う)

gaishi.jpg

高圧鉄塔には当然、送電線が架線されている。
そして鉄でできている鉄塔に直接裸の送電線をくくりつけるわけにはいかない。
ちなみに意外におもうだろうが、高圧電線というのは裸線なのである。
よって、送電線は「碍子」(がいし)と呼ばれる絶縁体で鉄塔と連結されている。
たとえば、この数を数えることによって、送電線のおおまかな電圧を知ることもできる。

碍子個数2〜334〜57〜1010〜1112〜1315〜1628〜30
送電電圧(kV)11or223366or77110or154187220275500

参考 凍結別館さん

この鉄塔は、この伝からすると、16連の碍子ということで275KV(つまり27万5000Vだ)の電圧を送っているということになる。

こちらのサイトの解説によると「発電所からの送電や変電所間の送電に使用されます」ということだ。

送電線は電線といっても、かなり太い物で、また重い物であり、数百メートル間隔でそれを受け止めている碍子と鉄塔の腕にかかる張力はおそらく数十トンに及ぶ物だと想像できる。
ここから考えても生半可な建造物ではないことがわかる。

ちなみに送電線は3本で1組、これを「回路」というらしい。
つまりこの送電線は「2回路」の伝送路をもっているということなんだろう。
逆にいえば、最低でも3本の送電線をもっているということだ。
ちなみに頂上に1本または2本張られている細い線は避雷針の役割を果たす物で、たしか仮想地線というものだったとおもう。

たとえばあなたの家の前にある普通の電柱でも、たしかにそうなっているだろう。
(3本一組でないとしたら、その電柱は「電気」を送るものではなく、電話線かなにかだということだ)

西播線はどこから来て、どこに行くのだろうか?おそらく出発点は今宿にある関西電力の変電所ではないかと思うのだが・・・・


hebiichigo.jpg


鉄塔のたもとにあったヘビイチゴの実。
じつはこの鉄塔は、オイラの小学生のときの通学路に聳え立っている。
このヘビイチゴの数十代前の祖先をよく帰り道に食した物である(マズかったけど)
オイラの鉄塔趣味の原点かもしれない。


鉄塔百景

日常見過ごしがちな変わった鉄塔のある風景をこちらのコーナーで地道にご紹介していきます。


トップ   リロード   一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2022-09-25 (日) 00:42:12